第7章 amazingがamazingでなくなったとき ー日々樹渉ー
「美味しそうですね、その卵焼き!」
「食べますか」
「よろしいのですか!!」
目をキラキラさせる日々樹さん。お昼ご飯を食べましょうamazing!とかなんとかいって教室に入ってきた時は殴ってやろうかと思ったけど、ね。
「美味しいですね!あんずさんのお母さんは料理上手で!」
「…伝えておきます」
相変わらずハイテンションな人だ
「あんずさんも料理をするのでしょう?」
「あー…trickstarの皆に差し入れするときだけします」
「羨ましいですねぇ。fineにはしてくれないんですか?」
「だって弓弦くんが全部やってくれてるじゃないですか!」
あの子は私より女子力が高い。掃除から料理からその他いろいろ全部やってのける。
「でも私はあんずさんの差し入れが食べてみたいです!彼の差し入れは健康重視で食べた気がしないのですよ?」
「健康重視、良いじゃないですか」
私がクスクス笑うと日々樹さんはどこか物悲しい顔をした。
「…そんなに差し入れ欲しいんですか?でも私が作るのは弓弦くんに申し訳ないし…………あ、一緒に作れば」
「駄目です!」
「えっ!?」
急に大きな声を出した日々樹さん。駄目って何が!?どこらへんが!?
「一緒に作るのは駄目ってことですか?」
「はい」
「いやはいって…」
私が途方に暮れたとき、あと五分で授業が始まることに気づき、私は教室へ戻った。
「忍くん、鉄虎くん、翠くん……
何がどうしてこうなった」
私は無理やり笑顔を作って優しい先輩を演じようとしたが頰が引きつっているのが自分でもわかる。
「す、すみません、姉御っ…!」
「えーーーんえーーーん!!」
泣いている桃李くん、と何やら気まずそうな流星隊一年生組。
怒っているのではない、私はこの状況を嘆いているのだ。
「何で私の卵焼き食べちゃったのよーーーっ!!」
そう……
食べ物の恨みいとふかし(意味不明)