第49章 独占欲 斎宮宗
「いい加減にしねえか!!!」
と、二人仲良く紅郎の拳骨をくらいケンカは終結。
互いに髪はボサボサ、服ははだけて(宗なんてシャツのボタン二個消えてた)いた。
「いやー、半年に一回これやらねえとストレスたまるんだわー。」
「僕をストレス発散に使うな!!」
「いやそれ以前にケンカすんじゃねえよ。」
紅郎がもう一発いっとくかと言わんばかりに手の骨を鳴らした。
しかし、紅郎の迫力にオドオドしていたみかくんが何かに気づいて口を開いた。
「杏里さん首どないしたん?」
「は?首?宗が引っ掻いたやつ?」
「んー、でも何か虫に噛まれたみたいやで。お薬持ってくるわ、待っててやー。」
みかくんはパタパタと薬を取りに行った。
虫に噛まれた?首を思いっきり下にまげてみかくんに言われたところを見ると、確かに蚊に刺された跡のようになっていた。
「うげ………いったいいつから……」
アタシがそこをゴシゴシ擦っていたら、紅郎と零が宗を見つめていた。
男同士でなに見つめあってんだ?
「………………マジか、斎宮くん」
「……………さすがにねぇわ…」
「ノンッ!僕なわけないのだよ!!ていうかあの虫刺されは僕の部屋に入ったときからあったッ!!」
なぜか今度は三人でケンカしていた。
……あれ。
何か違和感が。
「………………そういや天祥院とドライブしたときに………」
髪の毛をつままれた彼のとき。ゾッとして一瞬で身を引いたがあの時、ゾッとしたと同時にチクッとしたような……。
「うっわ、あん時かよ。アイツの車ヤバイ虫いんじゃねえか………。」
一応伝えた方が良いのだろうか。今度あったら言ってみよう。
「天祥院くんか………」
「高村、お前ってやつは…お前ってやつは……」
「…………おのれ……杏里に何てことを……!!!」
三人が頭を抱えた。
しかしすぐに起き上がり、
「行くぞ鬼龍、零!!
奴に血を見せてやる……ッ!!」
「「もちろんだ/もちろんじゃ」」
と何かヤバイ雰囲気になった。
「んあー、やっとお薬見つかったわあ……ってあれ、杏里さん…皆は?」
みかくんが戻ってきた頃には誰もいなくなっていたし、首の虫刺されの意味がようやく分かったアタシは赤面していた。
天祥院めッ……次あったら覚えてろーーーッ!!!