第48章 おめでとうという大義名分のもと謝罪します 漣ジュン
「夏目くんヤッホー」
「ナチュラルに地下室くるのやめてくれなイ?」
という言葉にも私はへこまない。へこんでる暇がない。
「まあいいヤ。誕生日おめでとウ、はいこれプレゼント。」
「わーいありがとう!!!でねでね、相談があるんだけどー。」
「彼氏からお誕生日おめでとうって言われてないんでショ?」
「え、何でわかったし」
「そんな世界の終わりのような顔してたらわかるヨ」
「……ふふふ、ドラゲ⚫イってか。」
「スノーマジックファン⚫ジーが良いんだけド」
その言葉を聞いてまさか、と思ったがプレゼントはドラ⚫ナイでもスノーマジッ⚫ファンジーでもなく可愛いウサギのストラップだった。
まん丸でモフモフしててまるでマシュマロのような手触り。
「カワイー!センス良すぎボンバー!!」
「心行くまでモフモフしてネ」
「するする!モフモフするー!!」
それで有頂天になったが、彼氏のことを思い出して萎えた。一気に萎えた。
「嫌われてんのかなあもう………屋上から飛び降りる以外道はない…」
「あめちゃン、お願いだからそれだけはやめてくれル?」
「夏目くん……!!」
「ボクのプレゼントがお金の無駄になル」
「わーーん!!もういいよモフモフするだけして飛び降りてやるぅぅぅぅ!!!」
バビュン!!と光のはやさで地下室から出ていく。上で鉢合わせたのか、青葉の「うえええ」とかいう情けない悲鳴が聞こえてきた。
「……………………祝ってくれないっていうか多分、今準備中なんじゃないかナ」
夏目はそう呟いた後、ニヤリと笑った。
「別れてくれないかナ~」
密かな思いを口にして、彼は不適に笑い続けた。