第47章 何事にも屈しないけれど時には泣いてしまいそうになる 衣更真緒
「ちょっと、いつまで寝てんのさ!!」
「う~やだまーくんが良いー」
「衣更は朝練ーッ!!!」
衣更のいない朝はいつもこう。私がどれだけ必死に引っ張っても中々起きてくれない。
「ったく、朔間は本当成長しないなー。ガキすぎるんだよ!!」
「何言ってるの、健全な男子高校生だよ」
「健全な男子高校生はとっくに起きてる時間でーす!!!」
耳元で思いっきり叫べば朔間は嫌そうに渋々起き上がった。
着替えるから出ていけというので家の外で待つ。
朝に時間をかける奴ではないので、すぐに出てきた。
「改めておはよう、あんず。次はもっと可愛く起こしてね~。」
「可愛く起こしても起きないじゃん。つか何、可愛く起こすって何。」
「…………………………さ、学校行こ。」
なんだか若干呆れられたようだ。全く腑に落ちない。
「ちょっと朔間!」
私は置いていかれないよう慌てて追いかけた。
「ははっ、やっぱ今回も苦労したか!」
朝練が終わり、額に汗を滲ませた衣更とバッタリ教室に行く道中に出会った。
朔間が駄々をこねるから朝練が終わる時間になってしまったのだ。
「笑い事じゃない…まーくんまーくん言ってばっかで全然起きてくれないんだから。」
「まーくんがいいんだもん。」
「あーそうですか、なら次から起こしませんよーだ。」
べーと舌を出していうと、朔間は真顔になって言った。
「ごめん、お願いだから起こして」
「自分で起きる気ゼロ!?どんだけ木偶の坊!?」
「凛月………お前って奴は…」
あんな朔間の真顔中々みれないよ!?貴重すぎるよ!?写メって待受にして崇めたいくらいだよ!?