第46章 クソ野郎が結婚したようです 七種茨
「おら起きろ」
ジュンに頭をはたかれる。これで何回目だろう?
昨日のことを何となく察したのか、ジュンは何も聞いてこなかった。
「お前、仕事は?」
「今日はレッスンの予定でして!しかし、相良さんは練習しなくても良い、閣下も自分のノルマさえこなせば大丈夫ですので!結局は練習いらないんですよね!」
にっこり笑ったがもう限界だった。
昨日のせいで眠たくて眠たくて。
「ジュンこそ仕事は?」
「俺は休み。おひいさんの気まぐれでさ。」
と、仕事が休みの野郎二人で何をしているかというと閣下の父親についての情報収集。
片っ端からfineに関する人間に電話をかけたところ(弓弦を除く)、閣下の父親と関係があることが判明したのだ。
ちなみにあんずさんの調査は、ここで行き詰まっているらしい。
ならば先を越さねば!!
事務所やらテレビ局やらへ赴き俺の言葉巧みに丸め込む技で資料を集め混んだのは良かった、のだが……
まるで雲を掴むようだ。
相良由蘭なんて名前はどこにも出てこない。
「………なあ」
「はい?」
「あの人の名前、『ゆら』だよなぁ?」
「ええ。何か語呂の悪い名前ですよね。」
「……………………………………『ゆうか』じゃねえよなぁ…?」
「それ、女の子の名前では?ていうか……さっきから何なんです?」
「……いや、だって…」
とジュンは手元の資料を見せてきた。
そこには一枚の写真。
そこには………幼い閣下と、どこか相良さんの面影を残した少年が陰りのない笑顔で写っている。
裏面には、『ゆうか』と『なぎさ』!
と黒いクレヨンで書いてあった。
「キッズモデル専門の雑誌に載ったみたいっすよ。あのゴッドファーザーさんがこの写真を持ってきたようで。」
「………やはり、二人は幼い頃に面識が…」
「……でも何で名前がゆうか、なんすかねぇ?まるで女の子じゃないっすか。」
二人は悶々と悩んだが、やがて一つの結論に至った。