第46章 クソ野郎が結婚したようです 七種茨
『君はワタシに何を望むの?』
あの時の先輩は死んでいた。生きていなかった。
何もしないのに何もかもできてしまうから、色んな人から恨みや妬みを買って全てに絶望していた。
それでも立ち直ってくれた。
笑ってくれた。
生きてくれた。
「茨、朝だよ………起き……」
冬の朝は寒い。隣で眠る茨を起こそうとしたが、力尽きて彼の体の上に倒れこんだ。
「………いつも言ってるけど、朝一で乗るのはやめてください
重い」
よくもまあ毎日そんなに嫁を罵倒できるもんだ。私はいつも通りその一言で意識を覚醒させた。
「おはよう!奥さんの顔が朝一番で見られるなんてラッキーだね!!ハッピーだね!?今日も元気に頑張ろーッ!」
「おはよう」
いつも通りにこやかに私にスルーをかまし、茨は起き上がった。私は慣れっこなのでにっこり笑い返した。