第45章 チョコレートなんてあげない 漣ジュン
「バレンタインにチョコレートあげる」
私はお返しとばかりに彼にもたれかかった。
「だからガトーショコラが食いてぇんだよ。」
その言葉の重みは察してくれなかった。私からすれば一世一代の大告白なのに。
だから素直に言ってみた。
「側に居てねってこと。」
しばらくシンとしたあと、ジュンが軽く頭をこづいてきた。しかしもたれかかった私を払い除けたりはしない。
「バッカ、あの言葉のどこがそういう意味なんだ…!!」
いつもと声の調子が違うと思えば、彼の顔は真っ赤だった。
指摘してあげても良かったけど、黙っておいた。
「……ていうか、あんまくっつくな。」
「先にもたれかかったのは誰でしょうねぇ?」
「俺からは良いんだよ。」
「何それ」
私はフフフッと笑う。それと同時にジュンがボソッと何か言ったが聞き取れなかった。それを聞くつもりはなかった。
やはりジュンのことならわかってしまう。
私もジュンと同じく顔を真っ赤にした。
______俺も男だからよ
まだまだ幼なじみから抜け出せない、そんな二人のお話し。
これにて終了。