第43章 …………マリーなんとか 乱凪沙 後編
結論を言おう。入ってきたのは雰囲気的に凪沙さんだとわかった。グイッと器用にジュンを押し退けて私をヒョイと持ち上げた彼は私を床に座らせた。
流石に寝たふりは貫き通せないので目を開けると、あーちゃんと髪乾かしたんだとか普段はきちんと結んでるのに髪の毛結んでない風呂あがりレアだわとか何とか思った次の瞬間に
「……………どういうつもり?」
言うなればあれだ。激おこプンプンファイナルドリーム状態だ。
顔とか口にはでないけどわかる。
すこぶる機嫌が悪い。
ジュンの方をチラリと見たが、彼はガチ寝。
話すきっかけってこれかよ
「いや、別にジュンとアバンチュールしようとか思ってませんよ?ただただ、ことのなり行きと言いますか」
「…………ごめん、よくわからない」
スルーしてほしい適当に誤魔化した部分を真剣に考えるのが凪沙さんだった。
理解できなくてごめんなさい、と彼はそう言った。
「まあ………そんな感じで私も凪沙さんを理解できてないんですが。」
「…………私を?」
「つかみどころのないと言いますか………」
私は深くため息をついた。凪沙さんは私の言葉を待っていた。
「……………えっと………その………だな……………」
口ごもる私に、しびれを切らしたのか凪沙さんが口を挟む。
「…………何を迷ってるのか知らないけど、私にあんずさんは必要だよ。」
彼はゆっくり私に手を伸ばし、頬に触れた。優しく数回撫でられたところでその手を掴んだ。
「それは、お世話係としてでしょう?」
手を払い除けようとしたが、力が強い。
凪沙さんは手を添えたままグイッと私に近づいた。
「…………違う」
彼が優しく微笑む。
「…………好きだから、一緒にいてほしい。あんずさんが好きだから、必要なんだよ。」