第42章 …………マリーなんとか 乱凪沙 前編
夢ノ咲を卒業して、六年たった。私はもう24歳になって……
3日後に結婚式をあげる。
ドレスとか会場とかはもう選んであるし、式の練習もたっぷりしたから式自体にはなんの不満も不安もない。
だが…
なぜ、こんなにもモヤモヤするのだろうか?
「あんずさん?」
「あ…………あぁ、すまない。何でもない。」
どうやらボーッとしていたようだ。プロデューサーとして働きだし、多忙を極める日々の中…かつての仲間たちと再会することも多い。
相も変わらず誰かの専用プロデューサーでもない私は、仕事でコロコロと担当するアイドルが変わっていった。
今回はEden。
旦那となる人がいるのは、とてもやりづらいがあの人はこういうのは全て茨に任せっきりにするから、仕事の打ち合わせといえども私の目の前にいるのは茨のみ。
場所を個室のあるカフェにしたのは、茨が変装したりしなくてもいいようにと配慮だった。
「本当に大丈夫ですか?何かあれば何でも言ってくださいのね!!世界で最も美しいあなたを、女神さえ一目見れば裸足で逃げ出すあなたを苦しめるものは何だって排除しましょう!!!」
「うむ、とりあえずその慇懃無礼な態度を改めた方が良いのでは?」
注文して運ばれてきた紅茶を一口飲む。…紅茶は、彼の皇帝がいれてくれたのものが一番美味しかったなあ。
「すみません、癖でして!」
「それは素晴らしいことだ」
嫌味たっぷりに言ってやるも彼の態度は変わらない。
「まあいい……ところで仕事の話だがね」
こりゃ死んでも直んないだろう。
話の本題に入ること数時間。散々喋り通した後に打ち合わせは終了した。
朝から話していたけど、もうお昼時だ。
「いやあ、話が弾みましたね!」
「君………本当にその慇懃無礼な態度何とかしたまえよ…半分ほど君の駄弁だったではないか…」
「す、すみません!」
「あんなに誉められると疲れる…………」
空っぽになったカップを脇に避けて机の上に突っ伏す。すると、茨がクスクスと笑いだした。
「照れるの間違いでは?」
「君本ッ当に性格悪いね…」
私は赤くなった顔は見せまいと、しばらく机に突っ伏していた。