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短編集…あんさんぶるスターズ!【あんスタ】

第36章 恋愛は積極的に 高峯翠 


体育。

跳び箱のテスト。


「はい、次あんず。」

「頑張ってあんずちゃん!」


私は走る。跳び箱に向かって。

運動音痴の私に飛べるわけない。そんなこと、分かってた。分かってたの。


「わあッ!!」

「あんずちゃん!?」


こけた。というか、跳び箱を飛んだ拍子にひっくり返した。

そのままズジャッと店頭。慌てて皆がかけよってくる。


「だ、大丈夫か……?」

「……右腕以外大丈夫です」


当然のごとく体育続行は不可。
氷鷹くんに付き添ってもらって保健室へ。


「……あれあんずさんに、氷鷹先輩…?」

「あ、翠くん」


思わぬ人物に会った。
私の彼氏である。


「ていうか先生……いるんですね、珍しい」

「そりゃ勤務時間だからな。ほれほれ見せてみろ。氷鷹は帰っていーぞ。付き添いサンキューな」

「はい」


氷鷹くんはそのまま帰って行った。

翠くんも体操服で、何か頭を冷やしてるし……体育だったのかな。確か、1年生は今サッカーだったっけ…


「これスか?」


あまりにもジッと見すぎたのか、彼が冷やしている頭を指さしてそう言う。


「勢い余ってゴールポストに打ったんですよ……本当ついてない」

「そう。私は跳び箱ひっくり返してこけたよ。ついてないね、お互い。」

「あんずの場合は運動音痴なだけだろ~?」


さすがにムカついたのでギロッと睨む。
するとギュムッと頰を掴まれた。


「ほーれ、そんな顔したら美人が台無しだぞ~」

「…………」


すると翠くんがスッとやって来て先生の手を私から引っぺがした。


「駄目ですよ、体罰です」

「あっはっは、悪い悪い」

「……悪いって思ってなさそうだけど」


そんなことナイナイ!と先生は笑い飛ばす。思ってない。絶対思ってないぞこいつ。


「ま、軽く捻っただけだから安心しろ。しばらく裁縫とかはやめとけよ。」

「えー……」


しかも、最悪なことを言われた。当分、衣装の製作ができないだなんて……

仕事人間の私からしたら、かなり厄介だ。
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