第35章 神様に懐かれているのです!! 姫宮桃李
「………そいつ誰?」
やばい。
あ、どうも皆さん。
神です
実は、遙か昔にあんずちゃんの先祖が私を召喚しまして。その日以来ずっとお仕えしています。
まぁ、そんなのは彼女の代にもなると都市伝説化してしまって信じられていなかったし。
神と言っても幽霊みたいなもので。
ごくわずかなしか見えないのです。触れもしないし。
ところがどっこい。あんずちゃんは並々外れた霊感がおありのようで。
幼い頃から私が見えていたようなのです。それにくわえて霊感が強いから。悪霊に狙われたのはもう……数え切れません
なのでお守りするためにお側にいたのです。
そして最近、彼女に可愛い彼氏が出来まして。
確かに。確かに彼氏となるとあんずちゃんと友に過ごす時間は長い。それはすなわち、私と同じ時を過ごすのと同じこと。
だからでしょうか。
………彼、私が見えるみたいです。
まぁ………皆さん、今お持ちの文明の機器で、『陰陽師、服』とか検索してください。私は今そこに出てくるような服を着ています。
そして腰まで伸びた髪を一本に結んだ……まぁ言ってしまえばただの男に見えているはずです。
「………そいつ?」
「…あんずちゃん、多分私のことです……?」
「しゃ、しゃべった!何なのお前!何時代の格好してんの!?コスプレ!?」
「ひ、姫くん……神様が見えるのです!?」
「神様ぁ!?」
あ、言っちゃうんだ。
もうどんな目を向けられてでも良いからコスプレ野郎ですまして欲しかったですよ……
「何かね、私のご先祖様が召喚したらしいのです!とっても頼りになるのです!」
「……頭おかしいの?ただの人間……ッ!?」
私に触ろうとした彼の手が伸びる。しかし、私に触れることはなくそのまま空を掴んだ。手は、私をすり抜けた。
「え……え!?」
「………とりあえず、信じてくれますか?コスプレ野郎ですまないのならそれが一番手っ取り早いので。」
「えええええええええええええええええ!?!?!?」
……………まぁ、とりあえず至極まっとうな反応ですね。
さてさて、どうなることやら。
神の私でもわかりません。