第2章 夢の話し 遊木真
「こーのーみー」
「ん?どうしたの?お兄ちゃん。真くんはいないよ?」
2年A組の教室にお兄ちゃんがやってくるのはだいたい真くんに用があるときだ。
しかし今日は違ったらしい。
「あのねぇ~。俺はゆうくんがいないとわかっていながらここに来るほど暇じゃないの。好海に用があったの!わかる~?まぁ許してあげる。俺の可愛い妹だからね~。」
「うへぇ…。そのノリ…チョ~うざいよお兄ちゃん」
お兄ちゃんはどさくさに紛れて抱きつこうとしてくるので必死でよける。
「もうやめてよね~。ホントシスコン!」
「冷たいなぁ~。それより、スイーツパーティーの事なんだけどさぁ、アイドル科だけが参加する予定だったんだけど全校生徒が参加するんだってさ。」
それを聞いて私は思わず耳を疑った。
「えぇっ!?何で?私もなのっ!?」
「いやぁ…アイドルとしての社交性を身につけるためであると同時に親睦も深めようみたいな…?ていうかぁ、俺もよくわかってないんだけど~。生徒会長さんが伝えといてくれってさ。」
「あ、あぁそう…。ど、どうしようかな…。仮病でも使おうかな~。」
私が煮え切らない態度をとっているとお兄ちゃんがあっ!と言い、一気に喋り出した。
「全校生徒ってことはたくさんの男どもがいるってこと…!そんなのに可愛い好海を参加させるは出来ないっ…!」
「ん?お、お兄ちゃん…?何が始まったのかしら?」
私の声など聞こえていないようだった。暴走は止まらずお兄ちゃんはしゃべり続けた。
「そうしたら周りの男どもは好海にメロメロ…!そしたらゆうくんが嫉妬しちゃう…!でもゆうくんは優しいからそんな自分を責めて……!そんなゆうくん、見たくないっ……!!」
「………お兄ちゃん…チョ~面倒くさいんだけどぉ……」
なぜか妄想スイッチが入っている。いや月永さんじゃあるまいし。
「好海!大丈夫!お兄ちゃんが何とかしてあげるからね!」
感極まったお兄ちゃんに抱きつかれ逃げるに逃げられない。いやまわりに人いるから!
「か、神崎くん!黙って見てないで助けて!」
「むむ?すまない。兄弟愛を疑っていたがそうではないのだな。」
「そんなわけないでしょっ!?」
安心めされい、と神崎くんは…………
って抜刀しちゃった!?