第29章 お姉様?お姫様?____彼女だよ 朱桜司
「お姉様!」
違う
「私は貴方という姫を守るKnightです」
違う
ねぇ、どうして気付いてくれないの?
私は君の
彼女だよ?
「………ケッ」
「あんた何て顔してんの………」
この世で最もおぞましい者を見るような目でイズミンは私を見てくる。
イズミンは私がモデルをやってた頃の同期だった。私が年下だけど、モデル歴は全く一緒。
「イズミン!君達の末っ子どうなってるの!?付き合って一ヶ月、『お姉様』とか『お姫様』とか!!私はそんなんじゃないのに!!ねえ!?」
「あんた、わざわざ人の家に押しかけてきてそんなこと言いに来たわけぇ?チョ~うざあい!!帰れ!!早く帰れ!!シッシッ!!」
「イズミンひどい!!」
ハエを払うように高速で手を振られた。さすがに私も傷つく。
「ていうかさぁ、彼氏がいるなら他の男の家に晩ご飯なんか食べに来ないでよねえ……」
「良いじゃない、イズミンママとパパが呼んでくれたんだもの。それに司くんは彼氏ではなく『弟』で『Knight』みたいだしね!」
ムスッとしてそっぽを向く。すると台所から良い匂いがしてきた。
「…………そんなこと言ってもねえ…。あんず、気をつけなよ…?」
「何が?」
「かさくん、わりとやばいから。」
訳が分からず問いただすが、イズミンは答えない。そのまま晩ご飯ができて、イズミンママに降りてくるように言われた。
___司くんがやばいって、何が?
悶々としながら、私は晩ご飯をたいらげた。