第25章 ありし日の僕ら 仁兎なずな
「な、何だ……そんなことまで過去の俺は言ったのか……」
「結婚の話ですか?」
そう聞くと、なずなくんは顔を真っ赤にした。
「あんずは何とも思わらいのか!?」
「噛んでますよ………。僕はもう自分のこと、女の子だって自覚してますから。なずなくんと結婚する理由もなくなっちゃったしね~?」
「…………」
少し黙り込んだあと、なずなくんは真剣な顔になった。
「…………好きだ」
「から揚げが?」
「なんれら!!??だから、あんずが好きだっていってんらよ!!」
「そんなの僕だって大好きだよ」
私の返事に、なずなくんはポカンとした。
「今更ですか?」
「だ……だって、そんなの一度も…」
「僕はずっと大好きだったのに。」
「そんなの、俺だって…」
なずなくんはもごもごと言いにくそうだ。
こうして見るとやはり可愛い。
「コホン」
そんな私達の雰囲気を壊したのは椚先生の咳払いだった
私もなずなくんもいつからそこにいた!?と驚いた。
「……早く帰りなさい。そして、告白はもっと人のいないところでやりなさい。」
「全くだホント………」
椚先生の隣には衣更くんもいた。生徒会の仕事でもしていたのだろうか。
気まずそうに声をかけてくれた2人にさようならを言って慌ててその場を去った。
校門まで来て、なずなくんとは方向が逆だから別れた。
別れる前に、
「…………俺、お前のこと好きだから…
大きくなったら結婚してくれ!!」
と真っ赤な顔で言い逃げされてしまったけどね。