第25章 ありし日の僕ら 仁兎なずな
「妖精?」
「七不思議の一つです!妖精さんに会ったら、素敵なものを見せてくれるんだとか!」
清掃の校内アルバイトで一緒になった創くんが、目をキラキラさせて話してくれた。
そして、同じエリアを清掃していた光くんも話にノってきた。
「特別なもの~?わかったぜ!!おいしいパンのことなんだぜ~!!!」
「ふふふ、そうだといいですね?僕はおいしいパンの耳が見たいです~。」
「……そこは遠慮しないでおいしいパンを見せてもらってもいいんじゃないかな?」
「いや、よく考えたら食べれないんだぜ~?見るだけなんて意味がないないんだぜ!」
確かに………光くんに正論を言われ、私達は止まっていた手を動かした。
その後十五分ほどで校内アルバイトは終わり、私達はレッスン室へ向かった。今日はrabbitsのプロデュースがあるからだ。
「こんにちは~。遅くなってすみません。」
「あ、創ちんに光ちんにあんず。校内アルバイト、お疲れさま!」
なずなくんは笑って出迎えてくれた。
彼と私は小学校の時に同じクラブに所属していたぐらいの接点しかないのだが、再会してからは仲良くしている。
「悪いな~、校内アルバイト任せっきりで。」
「大丈夫ですよ、友也くん」
「そうだぜ~!友ちゃんはもう少ししたら演劇部の講演あるし、そっちを頑張ってほしいんだぜ~!」
「光………!本当にありがとう。男の役だから、ぜひ見に来てくれよ!!」
この三人を見ていると何だか和む。ぽわぽわして微笑んでいると、なずなくんが場の雰囲気を手を叩いて正した。
「よ~し、さっそくレッスン開始だ!時は金にゃり!!」
と、噛んではいけないところを噛んでいたが慣れっこなので誰も突っ込まない。