第22章 君が大好きな俺へ 氷鷹北斗
………今日も、あんずは休み。
もう一週間は来ていないのではないだろうか。
「……あんずちゃん、よっぽどのカゼなのかな~?」
「お見舞い行く?」
明星と遊木と話し合い、こういう結論になった。
……というわけで、衣更も誘って商店街でお見舞いにりんごを買って、あんずの家へ向かった。
インターホンを押すと、家の中から弟が出てきた。
「こんにちは!今家には俺しかいないんすけど…。」
「えぇ!?あんずは!?カゼで休んでるんでしょ!?」
「あっ…………………び、病院です!病院!!」
ウソをついているのは明らかだった。
そして……家の中から、彼女は出てきた。
「お客さん?」
「あ!バカ姉!!」
「…………ッ!!」
俺達の顔を見た瞬間、あんずは家の奥へと引っ込んでしまった。
「ええぇ!?何で逃げるのあんずちゃん!!」
「おい…、どういうことだ?」
衣更が弟に問いつめた。彼は渋々話してくれた。
「学院に行きたくないって聞かないんです。あなた達が来たから、ビックリしてウソついちゃいました。」
「……なぜあんずは学院に行きたくないんだ?」
「知りませんよ。」
「んー、せめて会って話がしたいな。」
衣更がそう言うと、弟が嫌がるあんずを無理やり引っ張ってきてくれた。
しかしあんずは俺達を見るとやはり逃げ出してしまった。今度は二階へ行ったらしい。階段をのぼる音が聞こえてきた。
「あぁもう!!皆さん家の中入ってください!!」
「は………?」
突然の発言に少々戸惑ってしまった。
彼は俺達の背中を押して階段を上らせて………とある一室のドアの前で止まった。