第21章 大正歌劇に迷い込む 守沢千秋
あの子は__
帰れたんだろうか。
少し、不安だった。
あの子が入れ替わっている間に書いてくれたノートをペラペラめくる。
正直、読めない字が多かったが__。ちゃんとうつしてくれたことに感謝しなければならない。
ノートの………今書いているページの、隅っこに。
確実に読める字で、授業のメモ書きでもなく___それは書かれていた。
ありがとう
____涙が出るかと思った。
私は確信した。
あの子は、ちゃんと帰ったんだ。
「もーりさっわさん!」
「お!何だあんず!!」
放課後に彼を見かけたので思い切って声をかけた。
私は大正時代のことを思い出した。
あれは__私達のご先祖なのだろうか。
何だかよく分からない世界だったけど___
一つだけ、私が得たものがある。
「守沢さん、付き合ってくださいっ!!」
「わかった__ってな、なななななななななななな何ぃ!?!?!?!?」
守沢さんに、恋をしてしまいました。