第18章 ガラクタドールガール 斎宮宗
「あんずは僕の家の女執事なんだから!僕の家の者に何かしたらパパが黙ってないからね!」
「はぁっ!?伏見、あんた桃李くんの家のメイドだったの!?」
「何それうらやまっ!!てか何であんたなんかが!!」
「…………そう言われましても、決まっていたことですもの…。」
そんな八つ当たりされても知らない。どうしようもない。
「……何をしているのですか?」
そこへ現れたのは弓弦くん。やはり部活中みたいで、弓道着を着ている。
「こ、今度は弓弦くん…!?」
「またfineかね……。全く、こんな奴らのどこが良いのか。」
斎宮さんが顔をしかめる一方で、あの子達はキャーキャー叫んでいる。
「おや、誰かと思えば……あんずをいじめていたグループのリーダー格の人達ではありませんか。」
「なっ…………!」
あの子達が固まった。
……………弓弦くん、何で知ってるの?私何も話してないのに…!
「よくあんずをつけ回していたみたいですね。姫宮の家の防犯カメラにあなた達が映っていましたよ。登下校中にあんずに道に落ちている小石や空き缶を投げたり……随分とひどいことをしていましたね。」
「……何で、弓弦くんがそんなことっ…!伏見とは何の関係もないじゃっ……………伏見?」
そこで、その子達は気づいたらしい。顔がサァッと青ざめていった。
「………妹を守るのは、兄の役目です。しかし………守ってあげられませんでしたね。実際、いじめられていたことも何一つ語ってくれませんでしたし…
頼られていない時点で兄失格かもしれません。ですが…………それでも守りたいのも兄でしょう?さぁ、わかったらもう二度とここには……
あんずには近付かないでくださいね。」
弓弦くんが語り終えた瞬間、その子達は走り去っていた。私は、弓弦くんも感謝した。………本当に、良いお兄ちゃんだ。