第18章 ガラクタドールガール 斎宮宗
学校というものには、嫌な思い入れがある。前行ってた学校のせいだ。
なので夢ノ咲学院に到着した私はすっかり縮こまっていた。
自己紹介ではボソボソとしか話せず、明るく声をかけてくれた明星くん達にもろくな返事が返せなかった。
「伏見、肉を食え。」
「…に、肉でございますか?」
一番対応に困るのはこの隣の席の乙狩くん。やぁ困った。なんだこの人。
「ちぇすと!!!どいておられよ転校生どの!」
「……申し訳ございません。」
そして教室で刀の素振りしてる人。
なんか独特な雰囲気の人が多すぎる。
「弓弦くん………あそこは、学校なんだよね?」
「はい、そうですよ?」
「私、やっていけそうにないや………。」
「まぁまぁ、そう言わず頑張って下さい。」
何てお気楽な……。弓弦くんからしたら他人ごとだけどさ。
教室の空気になじめず、4限終了のチャイムとともに教室を飛び出した。
とりあえず、購買で何か買おう。
……あ、クロワッサンが一つある。4限終了直後にここに来てるのに、もう一つしか残ってないなんて……。
他に好きなパンはないし、これでいいやとクロワッサンに手を伸ばす。
するとサッと他の手が伸びてきて、クロワッサンを取られてしまった。
あっけにとられ、思わずクロワッサンを取った人を見てしまった。
「…………もしかして、君も欲しいのかね?」
「い、いえ私は別に………。パンは他にもありますので。」
「そうか、すまないね。…………ところで、その姿はコスプレか何かか?女子がこんなところまで侵入してきて………生徒会に見つかればどうなるかわかったものじゃないのだよ。」
どうやらこの人、プロデュース科のことをあまりよく知らないらしい。いや、私も完全に理解したわけじゃないけども…。
「………そ、その私………転校、してきまして………プロデュース科に………」
「…………あぁ、なるほど。近頃噂になっているのは君か。」
…明星くんも噂の転校生_とか言ってたし、それほど話は広まっているということか……