第13章 あてんしょんぷりーず? ー葵ひなたー
「初めまして、転校生さん?」
「あ、名前の方が良いかな。初めまして~、あんずさん?」
瓜二つの容姿に戸惑った。似すぎて、違和感があるくらいに………
「あれ?どうしたのかな?」
ピンクのヘッドホンをした___葵ひなたくんが反応のない私を不審に思い一歩近付いてきた。
「…………なんでもない、です……葵ひなたくん」
「おー!?俺達をもう見分けてる!!すごいすごい!!」
「アニキ………先輩相手だよ…」
「や、全然大丈夫、です…」
こんな時にペラペラしゃべれたら、と思う。他人に気を遣うあまりすっかり板についてしまった敬語が、せっかくフレンドリーに接してくれている2人との距離をどんどん広げていく。
「俺達のこと知ってる?2winkがどんなユニットかとか、俺達のプロフィールとか!!!」
「プロフィールは関係ないんじゃない?」
「いやいや、差し入れに辛いものでてきたら喜ぶのゆうたくんだけだからね!?そこらへん大事だからね!?」
どうやら、勝手に2人でしゃべってくれるらしい。とりあえずホッとした。
「すみません、アニキはいつもこうなんです。」
「別に…。それより、プロデュースしませんか…?」
本題をふっかけると、ひなたくんがケロッととんでもないことを言った。
「あんずさんの自己紹介は?」
…………?
「アニキ、もう名前もわかってるんだし…第一に俺たちも自己紹介なんてしてないじゃんか。」
「葵ひなた!1年!2winkリーダー!好きなもの、甘いもの!嫌いなもの、辛いもの!!はいあんずさんっ!!」
さぁ、と自己紹介をふられても困る。何も考えてこなかったのに。
「…あんず、2年、プロデュース科……好きなもの…特になし…嫌いなもの、特になし?」
「何で疑問でおわるの!?」
「うーん……………何でだろ。」
こんな風に、くっちゃべってプロデュースの時間が終わってしまった。
あの双子と一緒にいるのは疲れる。