第12章 私達 蓮巳敬人
「……あんたの仕業か」
誰よりも先に口を開いたのは私だった。
スバルくんの影に隠れてだけど、声はちゃんと出せた。
「さぁ?ここからは君と僕の話になるね。2人とも、席を外してくれるかい……?」
2人は顔を合わせて部屋を出て行った。スバルくんは渋々と言った感じだったけど。
「何で、こんなこと_ドリフェスは、どうなったの……?」
「失敗だよ。表向きは君のせいでね。あぁ、可哀想に。今までの苦労を本番当日に壊されたんだからね。」
「何で、他の人を巻き込むんですか……私を潰したいなら、私だけにしてください。」
真っ直ぐ生徒会長を見据えると、彼は綺麗な顔で笑った。
「君は、自分より他人を案じるだろう?」
「……だから、私じゃなくて、他の人を…?私が自分を潰されるより他の人が潰されていく姿を見る方が苦しむって分かってたから…」
「そういうことさ。邪魔者も潰せる。君も潰せる。一石二鳥だ。」
私はギュッと唇をかみしめた。
「…それがっ…………それがあんたのっ……それがあんたのやり方なのっ…!?っ…ズルいわっ、卑怯よっ………!!私を潰せばそれで良いじゃないっ!!!何で皆を巻き込むのっ…………!!私の、私のせいで皆っ……」
最後は言葉にならなかった。珍しく叫んだせいかのどが言うことを聞いてくれない。
いつの間にか生徒会長が私のすぐ目の前に来ていた。咄嗟に目をそらす。
「…あぁ、もろい。もろいね。」
生徒会長は両手を私の頰に添えて無理やりこちらを向かせた。
「君のせいでね。皆はまた夢を失うんだ。生徒会の支配の元ここで生きていくことになる。」
「…また、何かするの………?」
「もちろん。今度は……紅月とかどうだい?敬人がいるね。」
「っ!!」
私の目は見開かれたまま静止する。両頬に添えられた人の手とは思えないほどに冷え切った生徒会長の手を、振り払おうと一歩下がるがかなわない。
「__どうして」
「言っただろう…邪魔者は潰す。」
生徒会長の顔がだんだん近づいてくる。
ソッと耳元で彼はささやいた。
「僕は、君が好きだから。」