第12章 私達 蓮巳敬人
「やあやああんずさん!とtricksterのお三方!!」
お昼ご飯を食べ終えて、噴水で皆でウトウトしていると神出鬼没な日々樹さんが空から降りてきた。
私はペコリと頭を下げる。
「わぁぁ!!どこから来たんですか!?」
「どこって空ですよ!ちょっくらバンジーをね。」
屋上から降りてきたらしい。ヨイショ、と命綱をはずす。
「相変わらず…奇天烈な……」
「うふふ、驚きがないとね北斗くん?」
私はジィッとその様子を眺めていた。北斗くんは毛嫌いしてるけど、仲は良いよね。
「あんず、あんず」
スバルくんがチョイチョイと私の服の袖を引っ張ってきた。
「ほら、あそこ」
スバルくんが指さす先には蓮巳さん。
どうやらこちらに向かってきているらしい。
「日々樹さんに、怒ってる」
「かなぁ。でもあんずのこと見てない?」
「気のせい」
私は目をそらした。蓮巳さんは私が思う通り、日々樹さんをしかりにきたらしく、耳を引っ張って無理やり回収してしまった。
「……何しに来たんだ、あの人は」
全く、君の言う通りである。
「貴様は何をしているんだ!!バンジーなんてもってのほか!!」
「お言葉ですが!!誰とは言えませんが軽音部の人もしていましたよ!!」
「バッチリ言ったな!?」
蓮巳は校舎の隅で日々樹の説教をしていた。しかし日々樹は全く反省していない。
「ふふふ、虫の居所が悪いようですねぇ。英智に言われたことがそんなに気になりますか?」
「盗み聞きか、貴様」
「偶然とは、そういうことですよ?」
お気をつけて、と日々樹は微笑む。
「旧き友に占ってもらいますとね、略奪愛……という聞き慣れぬ言葉を聞かされましたよ。」
その言葉を残して、道化師は去って行った。
蓮巳はしばらくして、動き出した。