第8章 ひらめき
教室に入ると、授業中だった。
古典の教師は気の弱い人だから、特に注意しない。
クラスの子も、私が遅刻するのに慣れているので、こちらを見る子は少ない。
一応、教科書だけ出す。
隣の男子が教科書を読まされているので、源氏物語をやっていることは分かった。
文は読んでも分からないが、挿絵として載っている絵巻はきれいだと思う。
絵を見ていたら、チャイムが鳴った。
だるい。
保健室行くかな・・・。
その時、ケータイが震えた。
「まつふぃーぬ、学校はどうだ?」
カラ松さんだ。
「だるいっス」
「そうか。しかし、今日は俺達が迎えに行くからな。それまで頑張れよ。My Angel♰」
イタイなーと思いつつ、ちょっと笑ってしまう。
気付くと、周りの子が移動の準備をしている。
そこに立ってた女の子に聞く。
「あの、次って教室違うの?」
「うん、そーだよ。第一理科室。」
「まじか。ありがと。」
女の子は「いいよー。」と言って、他の子と教室を出ていく。
・・・理科の教科書あったっけ?