第5章 クリスマスor正月【虎太/勝呂/黒子】
【銀河へキックオフ!/降矢虎太編】
「悠鬼さん、今年はどんなプレゼントが欲しいですか?」
『えっ、プレゼント?』
クリスマスより一週間前の事。
お隣さんであり幼馴染である降矢家で一緒に夕食を食べていた悠鬼は、三つ子の父親にそう訪ねられる。
自分が貰えるとは思って居なかった悠鬼は、三つ子パパに不思議そうな目を向ける。
「あ、オレ新しいスパイクが良い」
「父さんは悠鬼さんに聞いてるんですよ、鳳壮くん」
『私要らないよ?当日はママさんと一緒にケーキやお料理作るから楽しみにしててね!』
「ありがとうございます、でも欲しい物何もないんですか?」
『だって私のところにはサンタさん来ないもん……悪い子だから』
(まだサンタ信じてるのか!?)
(鳳壮くん!ツッコむところ違いますよ!)
(……悠鬼、可愛い……)
(虎太くんまでっ……でも何で悪い子なんて)
悠鬼は降矢家の隣に住んで居り、昔から虎太達と良く遊んでいる。
両親は共働きで殆ど家に帰って来ない程仕事人間。
それを知った三つ子パパは、去年から悠鬼を降矢家で一緒に過ごさせる事にしたのだ。
毎日妻の代わりに家事をこなしてくれる悠鬼を、本当の娘の様に思う程可愛がっている。
『三つ子の誰かと結婚してママさんとパパさんの義理の娘になりたいの!』
と言ってくれた悠鬼。
いつも笑っていて欲しいと思う三つ子パパは、悠鬼の言葉の意味を問い掛ける。
「何でそんな事言うんですか?悠鬼さんはとても良い子だと思いますよ」
『だって私はサンタさんにプレゼント貰った事ないもん……それに私の欲しいものはサンタさんでも無理なの!』
「「「?」」」
「そうなんですか?……でもここでなら貰えるかも知れませんよ?一応手紙を書いて靴下の中に入れて置いて下さい」
『?……うん』
三つ子パパに靴下を渡されて手紙を書いた悠鬼は、それをパパが用意してくれた自分のベッドの枕元に置いた。
すると扉をノックして、虎太が顔を覗かせる。
『虎太ちゃん、どうしたの?』
「い、いや……もう手紙書いたのか?」
『うん、書いたよ!』
「何て書いたんだ?」
『……それは虎太ちゃんにも内緒よ?』