第2章 海と大地のまんなかに。
『……二人が気づくまでの間だけだからね?』
小さく溜息を吐いて微笑むと、まなかは安心したように笑って頷いた。
元から小柄な体をさらに小さくして必死に隠れようとしているまなかを見届けて、そのまま前へと歩みを進める。
だけど、やっぱりまなかが居ることは気づかれてしまっているようで、苦笑しているちさきと目が合った。
要もいつも通りに見えるけどあれは絶対に気づいてる。
ちさきが気づいているのに要は気づいてない、なんてことは考えにくいしね。
「おはよ、真依」
「何も言わないでよ」という意味を込めて数秒視線を合わせてから、ひらひらと手を振る要に私も同じように手を振り返した。
『…おは「まなかも、おはよ」
私の声を遮った要が、にっこりって言葉がぴったりな表情で言う。
「隠れてないで出ておいでよ」
背後から小さな悲鳴が聞こえ、要の意地の悪さに思わず溜息が出た。
首から上だけを後ろに向けると、少し涙目でオロオロしているまなかと目が合う。
助けてあげたいが、こうなってしまってはもうどうにもならない。
『……まなか…』
出来るだけ優しく名前を呼ぶと、まなかはゆっくりと私の服から手を離して私の隣に立った。
その肩は小さく震えていて、緊張や怯えが見て取れる。
私はまなかの肩に手を伸ばし、声をかけようと口を開いた。
「ごめんなさいっ‼︎」
急に大きな声を出してバッと頭を下げるものだから、思わず手を引っ込める。
二人もまなかの姿を見つめながら唖然としている。
頭を下げたままのまなかに居た堪れなくなって二人に視線を送ると、それに気づいた二人と目が合った。
*