第1章 海のような。
小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた。
だからいつから好きだったとか、どこが好きかなんてわからない。
本当は心のどこかでわかっているのかもしれないけど、上手く言葉にならない。
そんな胸から溢れてしまいそうなくらい大きなこの想いをなんて呼ぶのか、私はまだ知らない。
でもそれは、まるで私達が暮らす海みたいに、いつの間にかそこにあることが当たり前になっていた。
青く澄んだ海は、熱く眩しい太陽に照らされて
ゆらゆら、きらきら、優しい気持ちを教えてくれる。
けれど、海は優しいだけじゃない。
時には激しい荒波に変わる。
期待、焦り、悲しみ、嫉妬……
いろいろな感情と一緒に呑み込まれて、上手く息が出来なくなって、押し潰されそうになる時もある。
だけど、それでもこの想いを無くしたいと本気で思ったことは一度もない。
無くなれば楽になれるのかもしれないと考えることはあっても、無くなってしまえばいいなんてやっぱり思えないんだ。
この想いはそれくらい大切で、きっともう、私の身体の一部なんだ。
だから、もしこの想いを無くしてしまったら、私は私じゃなくなってしまうんだと思う。
なんでこんなことを思うのか、自分でもよくわからない。
だけどこの想いは絶対に無くしたくない。
無くしちゃいけないって、そう思うんだ。
例えこの先何があったとしても――――――…
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