第83章 悪気のない天然の方が罪な事もある。
九兵衛「鳥肌が…立っていない!?」
銀時「?」
そう、九兵衛は男性に触れられると無意識に相手を投げ飛ばす程の男性アレルギー体質。だがこの時、銀時(外見)に掴まれても投げ飛ばさないどころか、鳥肌ひとつ立っていなかったのだ…!
そんな希有な体質など知りもしない一郎兵衛は怪訝な顔を浮かべている。
九兵衛「僕は…僕はとうとう男を受け入れられる身体になってしまったというのか…!?」
一郎「いや、別にいいじゃん!!つーかそれ普通じゃね!?何が悪いの!?」
落胆する九兵衛に対し、至ってオーソドックスなツッコミを入れる一郎兵衛。一郎兵衛は彼女の体質など知らないが、どうやら二人の中身が入れ替わった事によって、中身が葵咲おんなである銀時に反応しなかったのだという事を何となく悟った。
そしてそれが葵咲だからこそ起きた事象である事も察し、思わず心の中でツッコんでしまう。
(一郎:つーか葵咲(コイツ)どんだけモテ体質なんだよ!!)
騒動が落ち着いたところで、葵咲はある変化に気が付いた。
銀時「あれ?銀…葵咲は?何処行った?」
九兵衛「さっき向こうの方に走って行ったが。」
九兵衛はきょとんとした表情で銀時が走り去った方角を指さす。それを聞いた葵咲は両手で頭を抱えながら大声で叫んだ。
銀時「あーっ!あいつ…!どさくさに紛れて逃げやがったァァァァァ!!」
そう言って葵咲は九兵衛の指さす方向へと猛ダッシュで走り出した。
銀時「ありがとう!じゃあまたな!」
九兵衛「? あ、ああ。」
何が何だか、状況を理解出来ていない九兵衛だったが、葵咲を引き留める理由も無い為、そのまま茫然としながら見送った。