第83章 悪気のない天然の方が罪な事もある。
葵咲「何の宗教ォォォォ!?余計怪しいだろーが!!見ろ!二人ともドン引きじゃねーかァァァァァ!!」
当然の反応だった。銀時の言うとおり怪しい宗教勧誘に見えて他ならない。
二人の不信感は更に増してドン引き状態だ。だがその時、後ずさる妙の足元に店先の積荷がある事に気付く。
銀時「! 危ない…っ!」
妙「え?きゃっ!」
積荷にぶつかってしまった妙はこけそうになる。だが寸前のところで葵咲が受け止めた。
銀時「大丈夫か?怪我は?」
妙「! えっ、ええ、大丈夫…。」
受け止めた体勢は社交ダンスのような体勢。葵咲が妙の腰に左手を回し、右手で妙の腕を掴んでいた。顔もかなり近い。その状況に妙の胸はトクンと脈打った。
銀時「良かった。」
妙「…っ!」
何故か良い雰囲気になる二人を間近で見ていた九兵衛は大激怒。刀を抜いて葵咲に斬りかかった。
九兵衛「貴様っ!妙ちゃんに気安く触るなァァァァァ!!」
銀時「えっ!?あっ!ご、ごめん!」
葵咲は九兵衛の攻撃を交わしながら、慌てて妙から離れる。自分は無害である事を証明するように両手を上げて降参のポーズを示した。一方妙は少しの間、頬を赤らめて葵咲の顔をじっと見つめていたが、ふと我に返り、葵咲達に背を向けて走り出した。
妙「わ、私、帰ります…!」
銀時「え?」
九兵衛「妙ちゃん!?」
一郎「もしかしてありゃ~銀に惚れちまったか?」
(一郎:いや、葵咲の方か。葵咲のモテパワーすげーな。天然ホストだわ。)
傍から見ていた一郎兵衛は葵咲に関心の意を向ける。先程は自分もうっかり持っていかれそうだった。その事も踏まえて葵咲のモテオーラを肌で感じ取っていたのだ。
妙が走り行く姿を見て、九兵衛はギリリと歯噛みする。そして素早く抜刀して葵咲へと斬りかかった。
九兵衛「貴様が妙ちゃんを汚したんだ…!!」
銀時「えぇぇぇぇ!?わた…俺、コケそうになったアイツを支えただけなんだけどォォォォォ!?」
九兵衛の攻撃をギリギリのところで交わしながらも、葵咲は九兵衛の気持ちを汲み取って頷く。