第79章 普段お母さんがしている仕事はお父さんには出来ない。
後ろ手に襖を閉め、その場に立ち尽くす土方。土方は眉根を寄せながら深く考え込むように俯く。
そこへパトロールから戻った総悟が駆け付けた。
総悟「土方さん?何やってんですかぃ。ちゃんと葵咲の傍にいて下せぇよ。」
屯所に戻って葵咲が再び倒れた事を聞いた総悟。今は土方が看病していると聞き、その役割を代わってもらう為に来たのだが、それを放棄して出てくる土方を目にして思わず注意をしてしまった。
総悟の声を聞いた土方は、ハッと我に返って顔を上げる。だがうわのそらといった様子で視線を逸らした。
土方「あ、ああ。悪い、ちょっと代わってくれ。」
総悟「え?」
土方「冷えぇピタ買って来る。」
総悟「ちょ、土方さん!?」
様子のおかしな土方に小首を傾げながらも、総悟は土方の後を追う事はせずに葵咲の部屋へと入った。