第75章 大物が釣れたら後の魚への興味は一気に失せる。
翌日放課後。
銀八は職員室で自分の席に座り、生徒達から集めた宿題を眺めながら頭を抱えていた。
銀八「何か違和感を感じるんだよな…。」
銀魂高校という世界観に違和感を感じている。いつもと違うという感覚はあるものの、何が違うのかが分からない。
例えて言うなら、いつも通る通勤・通学路にある建物が突然取り壊されていた情景に似ているかもしれない。よほど印象的な建物等なら話は別だが、突然無くなるとどんな建物があったか覚えていない事が多い。
確かに景色が変わった事は分かるのだが、前にあった風景を思い出せない。それに近い感覚だった。
必死に前に見ていた景色を思い出そうと頭を抱える銀八に、隣に座っていた服部が声を掛ける。
服部「どうした?」
銀八「なぁ、お前もそういう事あるよな?」
服部「は?」
突然話を振られるが、服部は銀八が頭を抱えている理由など知るはずもない。だが銀八は全てを説明するわけにもいかず、自分の置かれている状況をふわっと話した。
銀八「俺は俺だけど俺じゃねぇ、みたいな。」
分かるはずもない杜撰な説明だ。
だが服部はツッコミを入れるでなく、顎髭を撫でながら真剣に言葉を返す。
服部「そうだな。俺にも確かに違和感がある。この痛みは俺のもんじゃねぇ。間違いなく俺のケツじゃねぇよ。」
銀八「いや、それは間違いなく痔(オマエ)の痛みだよ。」
治らない痔の痛みに現実逃避を浮かべる服部。銀八はそんな服部をバッサリ斬り捨てた。
(銀八:聞く人間間違えた。そうだ、葵咲(アイツ)なら…。)
再び浮かぶキーパーソン。葵咲なら何かヒントをくれそうな、そんな気がした。
銀八は席を立ち、3Zの教室へと足を運んだ。