第73章 記憶を消しても罪は消えない。
華音との戦闘に突入していた葵咲と銀時。二人は見慣れぬ武器に手も足も出ず、柱の影に身を隠して様子を窺っていた。
葵咲「さっきから何なの!?あの武器ィィィ!!拳銃と大差ないのにバズーカーの数倍の威力あるんだけどォォォ!」
銀時「俺が知るかよ!!」
何度も威嚇射撃を行なうも、一向に観念する様子のない葵咲達に華音は痺れを切らして不満を漏らす。
華音「ねぇ、そろそろ出てきてよ~。僕、かくれんぼ系の遊びって嫌いなんだよ。鬼ごっこにしようよ~。すぐ捕まえてやるからさ~。」
銀時「くそっ、どうするよこれ。」
華音「今出てきてくれたら楽に殺してやるよー?」
柱の影から隠れるように様子を窺う銀時。華音はきょろきょろしながら二人の姿を探している。どうやらまだ場所は特定されていないようだ。
二人は小声で作戦会議を行なう。
葵咲「仕方ない、私が囮になるからその隙に銀ちゃんが…」
銀時「はぁ!?馬鹿言ってんじゃねーよ!お前をそんな危ない目に合わせられるか!」
葵咲「じゃあどうすんのよ!」
言い争っているうちに二人の声は自然と大きくなっていた。その声を聞いた華音はニヤリと笑い、静かに二人の傍へと忍び寄る。
銀時「それだったら俺が…」
華音「見ぃ付けた♡」
銀時・葵咲「!!」
慌てて振り返る銀時と葵咲。そこにはニィっと恐ろしくも冷たい表情で笑い掛ける華音がいた。
華音は瞬時に何かを唱え、人差し指と中指とを合わせ、右手で銀時を、左手で葵咲の額を小突いた。
銀時・葵咲「っ!?」
ドサッ!
小突かれた瞬間、二人は気を失ってその場に倒れ込んだ。それを見た華音は腕組みして首を傾げた。
華音「あれ?おかしいな。“身体がここに残っちゃった”。ん~やっぱ見よう見真似じゃ上手くいかないなぁ。」
眉間に皺を寄せて腕組みする華音。
少し考えた後、二人の横にしゃがみ込み、そっと二人の頭に触れながら呟いた。
華音「まぁいいや。ちょっと、様子でも見に行ってみるか。」