第6章 仕事において報連相は何よりも大事。
攘夷志士、高橋逮捕の翌々日。真選組屯所では朝から隊士全員が集められた。隊士達は正座、もしくは胡座をかいた状態で座っており、その隊士達の視線の先には局長の近藤勲、副長の土方十四郎、そしてその日から真選組で働くこととなる、市村葵咲が立っていた。
近藤「えー、今日から新たに真選組に仲間が加わる事になった!」
近藤は隊士達に向かってそう言った後、葵咲の方を見て頷いた。自己紹介を促された葵咲は笑顔いっぱいで答える。
葵咲「初めまして。市村葵咲と申します。」
葵咲が自分の名を名乗ったところで、土方が葵咲の業務について説明する。
土方「市村には勘定方や女中としての仕事をしてもらう。」
業務内容を確認した葵咲は頷き、自己紹介を続けた。
葵咲「他にも私に出来る事があれば何でもしたいと思ってますので、気軽に声を掛けて下さい。皆さん、これから宜しくお願いします。」
ザワザワザワ…。隊士達がどよめく。無理もない、真選組は男所帯だ。若い女が来るなんて異例の事態なのだ。やはり女が加わる事で動揺しているか…。土方がそう思い、これからどう隊士達を説得しようかと考えていた、その時。
近藤「こちらこそ宜しくね!葵咲ちゃん!」
気の抜けた声で、近藤が葵咲に挨拶をした。なんでこうもうちの大将は空気が読めねぇんだ。そう思いながら土方が一つため息をつき、頭を抱えながら言った。
土方「おい、近藤さん。その呼び方はやめてくれ。」
「そうだそうだ!!」
土方がそう言った事が引き金となったのか、隊士達が一斉に声を上げ、近藤の方を睨みつける。