第39章 探し物は思わぬところで見つかる。
土方「別に何もねーよ。」
近藤「嘘つけぇ~このこのっ!上司への報告は義務だろうが~♡ ほら、局長(このオレ)に話してみなさい!」
土方の傍へと寄ってきた近藤は、肘で土方をくいくいっと小突く。土方は苛立った様子で反論した。その目は少し涙目になっている。
土方「ホンットに何もねーよ!!」
(近藤:…何も出来なかったのか…。)
涙目の土方を見た近藤は全てを察し、土方が不憫に感じてしまった。
土方はそのまま縁側の淵へと腰を下ろし、煙草に火をつける。そして静かに近藤に呼びかけた。
土方「…近藤さん。」
近藤「ん?」
土方「俺ァ、高杉が許せねぇよ。」
近藤「どうした、急に。」
煙草の煙を吐き出しながら、地面に視線を落とす土方。その目は決意が宿ったような重く鋭い光を放っていた。
土方「あいつの気持ちを…過去を踏みにじった高杉が…許せねぇ。」
近藤「トシ…。」
土方の背中を見つめていた近藤だったが、柱へともたれ掛かりながら、視線を空へと移す。
近藤「…そうだな。」
二人の間にそれ以上の会話はなく、夜風が二人を包み込んだ。近藤が仰ぎ見た空には、月に雲が掛かっていた。