第15章 男は女に転がされるぐらいがちょうど良い。
正式に隊士として真選組で働くことになった葵咲。
葵咲の逃亡騒動から数日後、他の隊士達にも正式に紹介されることとなった。
葵咲はこの日、初めて真選組隊士の制服を着用した。ボトムスは結局、スカートとショートパンツと両方支給されたのだが、今回はどんな任務を受け渡されるか分からなかった為、対応しやすいようにとショートパンツを着用。髪は普段は首元でお団子にまとめるか、下ろしている葵咲だが、どちらも不向き、不似合いだと思われた為、ポニーテールにすることにした。
隊士達はいつもの会議用の部屋へと集められ、正座または胡座をかいた状態で座っている。隊士達の視線の先には、近藤、葵咲、土方が左から順に並んで立っていた。
ポニーテールの葵咲を目の前にした総悟は、一瞬時間が止まったようにフリーズした。その姿は昔のミツバそっくりだったからだ。総悟は会議が始まってからずっと、見惚れるように、また懐かしむように葵咲を見つめた。
近藤「えー、今日から葵咲には真選組隊士としての仕事にも就いてもらうことになる。配属先と今日の仕事についてだが・・・・」
近藤が全てを言い終わらないうちに、一番隊隊長である総悟が、挙手して遮るように言った。
総悟「はいはい!俺の隊でさァ!葵咲姉ぇ、今日は俺と一緒に…」
近藤「まぁ待て総悟、配属先についてはそうなんだが、今日はトシと一緒にパトロールに回ってもらおうと思ってるんだ。」
近藤の突然の提案に、土方は咥えていた煙草を落としそうになる。
土方「ハァ!?聞いてねぇよ近藤さん!」
近藤の提案には、総悟は納得がいかないといった表情で土方を睨みつける。
総悟「そうだぜィ、なんでよりによって犬の餌コンチキショーなんかと。」
土方「総悟てめェェェェ!」
近藤「こら、やめんか二人とも。葵咲、今日は任務を遂行する際にトシから局中法度についてや、真選組隊士としての心得を教わってくれ。これを教えるのは局中法度を作ったトシ、お前の役目だろう?」
そう言われてしまっては、断ることは出来ない土方。しぶしぶ近藤の提案を受け入れた。