第12章 個人情報は何処からか流出する。
どうやら冗談の通じる相手ではないらしい。
服装は一言で表すなら、ヴィジュアル系の風貌である。真っ黒の着物を着ているのだが、右肩が見えるぐらいの乱れた着こなしの為、胸元で十字架のネックレスが光り、肩から胸にかけて刀傷が見える。着物の右袖と裾は破けた仕様で、着物の下には黒いパンツを履いている。足元は紐の黒ブーツだ。そして腰には帯ではなく、三連ピラミッドスタッズベルトをしている。
そんな男をよくよく見て、葵咲は冷や汗を垂らした。
(葵咲:…この人、強い…!!細身で一見ひ弱そうに見えるけど、相当死線を潜り抜けてる…。)
謎の男「そーんな警戒しないでよ~。俺、今アンタと殺り合うつもりはないよ?」
葵咲「…じゃあ一体何が目的なの?私の味方ってわけでもないんでしょう?」
謎の男「あれぇ?俺のこと、知らない??ショックだなァ~俺はアンタのこと、いーっぱい、ある人から聞いてるんだけどねェ。市村葵咲…いや、吉田葵咲チャン?」
葵咲「!!・・・なんで・・・」
謎の男「『なんで私の名前、知ってるの』?そりゃあアンタのこと、よぉ~く知ってる人から聞いたからに決まってんでしょ?クスクス。」
男は見下すように薄ら笑いを浮かべながら葵咲を見る。葵咲の鼓動は一気に早くなった。
謎の男「そいつの名前はァ~・・・」
葵咲「!?」