第113章 肝試しはペア決めが一番盛り上がる。
それぞれが期待やガッカリ感を抱く中、深刻な表情を浮かべているのは、この男だ。
(土方:九番。幸い俺の相手は、あの“からくり家政婦”。どんな失態をおかしても恐らく問題ねぇ…。)
幽霊の類が苦手で仕方ない土方。土方は自分のペアが誰なのかすぐさま確認し、鬼の副長たる威厳が損なわれないかどうかを見定めていた。
土方が引いたのは九番。相手はたまである。相手がからくりとあらば、悪戯に暴露したりせず、守秘義務を守ってくれるに違いない。その事に土方は少し安堵する。
そんな土方へ、背後から神楽が声を掛けた。
神楽「おい。」
突如声を掛けられてビクゥッ!となる土方。慌てて振り返って神楽の顔を見た。
土方「あぁ!?な、なんだよ!」
肝試しにビクついている事を悟られていないかと内心ドキドキの土方。気付かれれば からかわれる。鬼の副長としての威厳がなくなる。ここは何としてもバレるわけにはいかない。
そんな心情の元、土方は平静を装う。
一方神楽は土方を脅かしに来たわけでも、からかいに来たわけでもなかった。神楽は至っていつもと変わらぬ態度で言葉を続ける。
神楽「お前、たまには部下に花持たせてやる気ないアルか?」
土方「は?」
一体何の話だ。話の筋が読めない土方は怪訝な顔を浮かべる。そんな土方を無視し、神楽は半ば強引に土方が手に持っていたくじと自分のくじとを交換した。
神楽「こっちと交換してヨ。」
土方「あ!ちょ!おいィィィィィ!!」
折角安全に事を終えられると思っていたのに。だがそんな本音を言えるはずもない。土方は舌打ちしながら受け取ったくじへと目を落とす。
土方「つーか誰なんだよ、十二番って!」
銀時「・・・・・。」
土方の言葉に反応したのは、近くで呆然と佇んでいた銀時。銀時は十二番のくじを握り締めながら土方の方へと視線を向けた。
土方「・・・・・え。」
そうして暫くの間、二人は無言で見つめ合うのだった。