第105章 備えあれば憂いなし。
松本「自分の力を吸い取られるか、他者の力を供給する事が出来るか、です。」
近藤・土方「!」
想像していなかった言葉に、近藤と土方は思わず目を見開く。そして松本は会議室にあるホワイトボードへと分かりやすく図解しながら更なる説明を続けた。
松本「仕組みとしてはこうです。村民達は合成薬を投与される事で自我を失います。その際に、アンテナのようなものを身体に差し込まれる。そこから力を奪い取られていたんです。」
土方「絵が画伯過ぎて説明が全然頭に入ってこねーんだけど。アンテナ村民に貫通してんだけど。」
松本の図解する絵は劇的に下手だった。しかも下手なくせに良く描こうとするから尚更グロテスクで衝撃的な絵になっている。
土方からの指摘を受け、松本は恥ずかしそうに頬を染めながらコホンと一つ咳払いをする。そしてペンを山崎へと託して説明を続けた。
松本「当初、私の読みでは村民達に差し込まれたアンテナに塔から力が送り込まれていたと思っていたのですが、逆だったようですね。」
現場で松本は村民達に埋め込まれたアンテナを見付け、それに力が送り込まれる事で紗羅の助力となっていると推察し、山崎達に電波を発していそうな塔の破壊を依頼した。だが全くの逆。強化した村民達から力を奪い、緒方や玲央へと送り込まれていたというのだ。まぁ塔を壊した事で緒方と玲央の力が削がれた為、結果オーライだったと言える。
山崎が更にホワイトボードへと書き加え、ボードを指差しながら、その説明を引き継ぐ。