第11章 情けは他人の為ならずって諺は、結局は自分の為になるって意味。
そして場所は土方と葵咲の入った押入れへと戻る。
あれから数分経ち、近くで聞こえていた足音は遠ざかっていったようだった。
葵咲「とりあえず…何処か行ったみたいだね。」
そう言って葵咲はやっと自分の手を土方の口元から放した。理性が限界だった土方は押入れから出ようとする。
土方「・・・・じゃあお前一人で隠れてろ。」
葵咲「出ちゃだめだよ!危ないってば!!」
葵咲は押入れから出ようとする土方の腕を掴んで引き止める。
土方「お前ここに二人でいる方が危ねぇだろうが!」
葵咲「いつかは嗅ぎ付けられるってこと?」
土方「そういう意味じゃなくてだな!」
そこまで言ったところで、土方の箍が外れた。
土方「・・・・それとも誘ってんのか?お前、俺を何だと思ってんだよ。」
葵咲「え?」
そして押入れの中で土方は突然、葵咲を押し倒した。
葵咲「ちょ、土方さん…?」
土方「俺も男なんだぜ。」
真剣な顔つきで言う土方。葵咲の手首を押さえつける土方の手に力が入る。その時、二人の入っている押入れの襖が開けられた。
「!?」
そこには先程通り過ぎていったはずのキメラアントが立っていた。
土方「キ、キメラアント…!!」