第87章 恋する乙女のバイブルは星座占い。
翌日、再び屯所前。
銀時と一郎兵衛は今日も葵咲の張り込みだ。
銀時「ヅラのやつ、知らせる方法考えるつってたけど、どうするつもりなんだよ。」
それは一郎兵衛も気になるところだった。だがここで考えても仕方がない。ひとまず様子を見ようと屯所の方に目を向けると、玄関から葵咲が出てきた。そして葵咲の顔の横を何かが掠めた…!
葵咲「! こ、これは…!」
矢文だ。矢文は葵咲の顔の横をすり抜け、屯所入口の木枠へと突き刺さった。
銀時「果たし状ォォォォォ!?しかも矢文!?いつの時代だよ!!つーかその方が見つかったらヤバくね!?真選組(あいつら)葵咲助けに現場に集まっちまうだろーが!!」
一郎「おいおい葵咲のやつ大丈夫か!?あんなネガティブ女子が惚れた男から果たし状なんて送られてきた日にゃ、心がもたねーんじゃね?よし、ここからが俺のターン…」
銀時「いや、早ぇーよ!!お前の頭そればっかだな!!もうちょっと様子見とけ!」
先走って葵咲の傍へと駆け寄ろうとする一郎兵衛を銀時がガッチリ肩を掴んで制止した。
だがその選択肢は正解だった様子。葵咲は落ち込むどころか、何やら嬉しそうな表情を浮かべている。刺さった矢を抜き、手紙を手に取りながら左手を頬に添えた。
葵咲「太郎ちゃん…!まさか、真選組にいる私を気遣って…?うん、これなら逢引だなんてバレないもんね!キャー!」
一郎「なんかプラスに捉えちまったァァァァ!!」
銀時「なんでいつもマイナス思考のくせに今回はプラス思考なんだよアイツ!!」
影でそんな風にツッコまれている事など知りもしない葵咲は、手紙を懐に入れ、再び屯所を出てスキップで歩を進めた。
そうして葵咲が向かった先は商店街。商店街の中を少し歩き、本屋へと入って行った。