第84章 人を陥れようとすると足をすくわれる。
銀時を一人定食屋に残して出てきた土方だったが、外の風に当たっても気持ちは晴れない。
(土方:あー…ダメだ。嫌な考えしか浮かんでこねぇ…。)
ぼーっと歩きながら土方は深いため息をついた。
その時、ふと前に目を向けると山崎と原田が話し込んでいる姿を見付ける。何やら深刻そうな面持ちの二人に、土方は声を掛けた。
土方「どうした?何かあったか?」
原田「んげェェェェェェェっ!!ふっ、副長ォォォォォォォ!?」
山崎「なんでここにィィィィィ!?」
土方「いや、たまたまだけど。」
どうやら二人は土方が故意に自分達の元へと訪れたと思ったらしい。だが本当にたまたま通り掛かっただけの土方は煙草に火を付け、怪訝な顔を浮かべる。先程までは私情に頭を悩ませていた土方だったが、やはり真選組の副長。二人の様子を見てパッと頭を切り替えた。
土方「ただ事じゃねぇっつー面だな?」
山崎・原田「・・・・・。」
事態を報告するかどうするか、確認するように二人は顔を見合わせる。だが黙っていてもいずれは報告せねばならぬ事。覚悟を決めたように頷き合い、山崎の方から口火を切った。
山崎「それが…。」