第13章 【縁下兄妹、東京へ行く】中編
「お前っ。」
声は木兎のものだ。
「噂の地味リボンっ。」
初対面の奴にいきなり言われて美沙は飛び上がった。
「誰が地味リボンだーっ。」
動揺しながらも標準語が崩れなかっただけ偉い。一方木兎はキョトンとしている。
「え、だって黒尾が地味リボンって。」
「木兎てめっ。」
「ちょお黒尾さんっ。」
「こっち見んな地味リボン。」
「地味リボンちゃうし。」
「実際今日もリボンだろが。」
「こ、このにーちゃんはっ。」
言っている間にも何だ何だと梟谷のメンバーがよってきて美沙は半ばパニックである。
「おら木兎また何騒いでやがる。あ、お前ゲストで来たって奴。」
木葉が美沙の顔を覗き込む。
「は、はい。」
「音駒と仲良いのな。」
興味津々で小見が言い、美沙はまあそんな感じですと何とか返事をするが頭は真っ白になっている。
「てか黒尾がわざわざ呼んだってのが意外な感じのタイプだなー。」
のほほんという猿杙はともかく鷲尾と尾長にはじっと見つめられる始末で美沙は思わず力の方を見るが義兄は赤葦と話していてそれどころではなさそうだ。
「こらアンタ達っ」
とうとう雀田が声を上げる。
「初対面の人困らせないのっ。」
しまいめに白福がところでーと言った。
「結局貴方どちら様ー。」
呑気な物言いに引っ張られてやっと美沙は落ち着いた。
「初めまして、宮城の烏野高校1年の縁下美沙と申します。今日は私までお招きいただき有難うございます。」
梟谷の面々は口々によろしくーと言った所で早速木葉が質問をする。
「で、お前結局烏野のバレー部とどういう関係。」
「あっちにいる縁下力の妹です。私自身はパソコン部なんですけどたまにお手伝いしたり関わってたらほぼ身内扱いになってまして。あ、マネージャーの谷地さんはおんなじクラスです。」
答えるとやはりというべきか木葉は不審そうな顔をした。
「兄貴って今赤葦と喋ってるあの七三だよな、ホントに兄妹か。」
「ちょっと木葉。」
雀田がとがめるように言うが木葉はだってよと言う。
「顔全然似てーねーぞ。それにさっき音駒のと喋ってるのちらっと聞いたけど言葉も違くね。」
「あれそうだったか。」
首を傾げる小見に木葉はそーだよと返した。
「関西弁だったぞ。」