第13章 【縁下兄妹、東京へ行く】中編
「縁下よ、さっき月島も言ってたけど妹がふぎゃあってな事になったらどーすんだ。」
「やめろ田中フラグ立てるな美沙はすぐ回収するんだから。」
「寧ろ兄貴が自ら回収」
「木下、そろそろ怒るぞ。」
「美沙は慣れたらはええから意外と梟谷の奴ら気にいるかもなっ。」
「馬鹿よせ西谷っ。」
「成田、もう遅い。」
力は無表情になっていた。
1年連中や2年のハイテンション組がしばし騒いだ後、やがて烏野一行は静かになる。その中で縁下美沙は谷地の隣で眠ってしまっていた。
「あれ、美沙ちゃん寝ちゃったのか。」
清水の後ろの席から菅原が顔を出しコソッと囁く。清水は頷き、
「昨日眠れなかったのかも。」
「美沙さんは遠くへ行きなれてないって縁下さんが言ってました。実際緊張してるっぽかったです。」
谷地も話に参加する。
「あんだけわいわい言ってたのにな。」
「緊張をまぎらわせたかったんですよ、私凄くわかります。」
「やっちゃんが言うと説得力がすげーわ。」
菅原はクスクス笑い澤村がスガ、と声をかけた。
「そろそろそっとしといてやれ、美沙さんが起きるだろ。」
「大丈夫だってまだ縁下が睨んでないし。」
「そ、そういう問題なのか。」
東峰が戸惑う中菅原は尚もクスクス笑いながらだってさ、と言った。
「美沙ちゃんに何かあったらあいつきっと俺相手でも容赦ねーもん。」
「現地に着いたら美沙さんがどうなるか急に不安になってきた。」
澤村と同じ事は勿論義兄の力も心配していてかろうじて見える義妹の寝顔を見ながら現地で一番危ないのは誰かなといったことを考えていた。