第12章 【縁下兄妹、東京へ行く】前編
そんな会話を挟んだ後日に赤葦はバレー部の連中にこう伝えていた。
「皆さん、交流会の件で追加連絡です。」
部室の中で静かな声が響く。
「烏野からはゲストも来る事になりました。」
さらりと言われたそれに梟谷学園高校バレー部の連中は一斉に首を傾げた。表情が大変わかりにくい鷲尾辰生ですらも、である。
「ゲストって誰よ。」
主将の木兎光太郎が頭上に大量の疑問符を浮かべたような顔で尋ね珍しく他のメンバーも同調した。
「それは当日まで伏せておきます。」
言う赤葦に木葉明紀がは、と声を上げる。
「何だ芸能人でもくんのか。」
「いいえ。」
「俺らの知ってる人か。」
次に聞いてきたのは小見春樹だ。
「いいえ。」
「何でわざわざ伏せる訳。」
今度は猿杙大和も口を開く。
「今言うと木兎さんが面倒くさい事になりそうなので。」
勿論木兎は何だよそれっと抗議するが赤葦は聞こえないふりをして流しそこへマネージャーの白福雪絵がのんびりと言う。
「男の子、それとも女の子かなー。」
「女子です。」
「美人ですか。」
何となく乗っかってしまったのか尾長渉までもが参戦する。
「悪いけどそっちは期待しないで。」
「ってかそもそも何でそんな話になったの。」
とうとう白福と同じくマネージャーの雀田かおりが核心をついてきて赤葦はふぅと息をついた。
「黒尾さんがコアなファンを抑え切れなかったので。」
赤葦にしては遠回しなのでチームの連中はまたも首を傾げとうとう鷲尾がボソリと呟いた。
「俺達はともかく監督達は。」
「烏野側含めて正式に話が決まってます。」
「なら問題ない。」
そのままよくねーよ誰だよ教えろよとブーブー言う木兎を放置したまま話は進んだのであった。
次章に続く