第66章 【烏と狐といろいろの話 その7】
「いーのかなあ、せっかく会えたんだし滅多に見れない美沙ちゃんの写真分けたげよかなって思ったんだけどな。」
そんな中、及川から双子へ大変子供じみた挑発、いや挑発と言って良いのかも迷うレベルである。
実際双子のお目付け役である北がボソリと、何をしょうもない、と呟いている。
だがしかし、双子はまんまと引っかかった。
「及川くん、滅多に見れへんてどゆこと。」
侑が尋ねる。
勝手に話を進められた美沙が、ちょお待ってと口を挟むが及川も双子も聞き流している。
「あれ、知らないの、二人共。」
「何が。」
治が怪訝そうに聞くと及川はフフンと無駄に誇らしげな顔をする。
「美沙ちゃんって、ガチでお化粧しておめかししたらすっごく化けるんだよ。」
「知ってるっ。」
侑が即座に言う。
「修学旅行でメガネ君に文化祭の時のフリフリのロリ服写真見してもろた。」
「それそれ。」
「せやけどあとで写真送ってって頼んだらめっちゃ拒否られた。」
「ちょお、いつの間に裏でそんな話(はなし)しとったん。私聞いてへんで。」
「ありゃ、それは残念だねえ。」
ニヤニヤする及川に治がムスッとした。
「他のみんなもまま兄くんに殺されるから嫌やって全力で。」
「随分な言われようなのは気のせいかな。」
力が口を挟むと、烏野側で日向・影山・山口・谷地の計4名がそおっと目だけ笑っていない先輩から視線を逸らす。
対照的なのは月島で、こっちは視線を逸らさず言われても仕方ないでしょ、と言わんばかりの雰囲気を醸し出していた。
「今更で恐れ入りますが、あの写真を見せたのはままコさんに着物着てもらうもらわないの騒ぎが全く収まらなかったので緊急措置です。」
「本当に今更だからそこは不問にしておくよ。」