第11章 【鉄壁3年とエンノシタイモウト】
そんなこんなで案の定カオスな事になり、しかし力はそれらを完全に流して鎌先から取り戻した義妹の世話を焼いていた。
「怪我してないかい。」
「うん、大丈夫。それより兄さん」
「怖くなかったか。」
「びっくりはしたけど大丈夫。でっかい人らにも慣れてきたし鎌先さんもやかましいけど悪い人やないみたいやし。」
聞こえたらしい鎌先がやかましいって何だと騒ぐが笹谷にどう考えてもやかましいだろと突っ込まれている。
「とにかく兄さん心配しすぎやて。」
「お前がうかうか知らない人についてく程呑気じゃなきゃいらないんだけどな。ホント相手が茂庭さんで良かったよ。変な呼びつけはスルー出来る癖に何でそうなるんだか。」
「うう、ごめんなさい。」
「泣かなくていいよ。ほら行くぞ。」
「あい。」
美沙は力に手を引かれながらも後ろから烏野のチームの連中や茂庭以下伊達工の連中の視線が刺さる思いがする。
しばらく試合観戦には来(こ)ん方がええかなと考えつつも美沙は呟いた。
「和久南戦めっちゃ格好良かったで、兄さん。」
力はうっと唸って顔を赤くする。
「そ、そんな事言ってごまかそうったってそうは行かないからな。」
美沙は微笑み、力はもうとため息をついた。