第11章 【鉄壁3年とエンノシタイモウト】
「お前ね、まだ茂庭さんだから良かったけどもし変な奴だったらどうするんだ。」
「ご、ごめんなさい、兄さんとおんなじ匂いしたから大丈夫やと思て。」
美沙は何も考えずに言った訳だが途端力の方は顔が熱くなっていた。勿論即2年仲間が反応する。
「いやあお熱いですなあ。」
いっとう最初に言うのは木下だ。
「縁下、兄貴冥利に尽きるな。」
次に成田が力の肩をポンと叩く。
「くそおおおリア充共があああ、お前ら相手じゃなかったらボールぶつけるとこだっつーのっ。」
田中は歯ぎしりしているし
「良かったじゃねーか、力っ。」
西谷には全く状況に合っていない褒められ方をされる始末である。当然他も黙ってはいない。
「どんだけお兄さん至上主義なの。」
「ツッキー、顔が凄いことになってるよ。」
「美沙って顔広いのなー。」
「くそ、伊達工の人と喋るとかままコやるな。」
「影山君、そこなの。」
「おーい縁下ー、所定の手続きはなるだけ早くなー。」
「すすすスガよせって。」
「美沙ちゃんは本当縁下大好きね。」
「こらお前らもういい加減にしろっ。」
とうとう澤村が一喝し、それから茂庭に向き直る。
「すみません縁下に妹が出来てからこっち、しょっちゅうこんな調子で。」
「ああいや。」
茂庭はこの時しょっちゅうなのかと思ったがあえて口にしなかったという。
「てかよ、そこの兄貴に一個ききてーんだけど。」
鎌先が両腕を組んで力に尋ねた。
「何でしょう。」
「そいつ本当に妹かあ。顔全然似てねーしさっきから聞いてりゃ言葉全然ちげーし、何だっけなほれ」
「関西弁だな。」
笹谷が言うと鎌先はそれだと声を上げる。
「そーそー関西弁、妹だってんなら何でこっちの言葉じゃねーんだよ。」
不審そうに言う鎌先に茂庭がやめろって無理に聞くなよと言いつつ美沙にチラリと心配そうな視線を送る。
しかし当の美沙は相変わらず何も考えていない。