第61章 【烏と狐といろいろの話 その2】
最寄り駅まで迎えに行くと、いつか見たでっかい2人とそれらと比べると小柄な1人が待っていた。
「ままコちゃーんっ、こっちこっちー。」
でっかい方の片割れが満面の笑みで手を振っている。
縁下兄妹は小走りでそちらに駆け寄った。
「侑さん、治さん、お久しゅう。」
「久しぶりーっ。」
「久しぶり。クソツムはやかまし。てか、ままコちゃんの私服初めて見たわ。」
「えらいブカブカやん、中身入ってるん。」
「ちょっ、いきなり腕掴まんといてっ。」
「あ、入ってたわ。」
「お前、のっけからまま兄くんにぶっ飛ばされるで。」
「抱っこしてへんからセーフやろ。」
「そういう話ちゃうのっ。」
会って早々に弄ってくる双子に困惑する美沙、早速やられたので顔は笑っているがキレ気味の義兄の力が口を開く。
「どうも、オフでは初めまして。」
宮兄弟が、お、と力に注目した。
「ままコの、いや、美沙の兄の縁下力です。京都では妹が大変お世話になりました。」
わざと同学年相手にしては丁寧過ぎる挨拶をする力、一方で双子側もたいがいである。
「どーも、宮侑です。てか、君がまま兄(あに)くん。」
侑がニイッと笑う。
「宮治です。声しか知らんかったけど、めっちゃ地味メンやな。」
適当過ぎる挨拶をした上に明らかに余計なことを言う治に、美沙がちょお、と抗議しかけるが力は微笑んでそれを押し留める。
「実際俺はそこらにいる凡人のポンコツだから仕方ないよ。」
「せやけど兄さん」
「大丈夫だって。」
力は言って宮兄弟に視線を戻す。
「流石兄弟だね。相方さんもなかなか。」
「スマンスマン、サムはデリカシーないもんやから。」
「お前の方が万倍デリカシーないやろ。」
「あ。」
「ほんまのことやろが、ダボ。」
「あ、あのう、美沙の前でダボはやめてくれないかな。柄の悪い言い回し聞かせたくない。」
「のっけからまま兄くんに怒られるて。ツムの方が暴言ひどいのに。」
「その、申し訳ないんだけどどっちもどっちかなって。」
「へえ。」
困ったように微笑みながらもさらっと本当のことを突っ込んでくる力に侑が反応した。