第61章 【烏と狐といろいろの話 その2】
とかなんとか言っているうちに時は過ぎて、とうとう宮兄弟ともう1人がやってくる当日となった。
「美沙、そろそろ行くよ。」
「はーい。」
義兄に声をかけられ、美沙が部屋から出てくる。
窮屈なものが嫌いな義妹は今日もゆったりとした服装で、肩から安定のガジェットケースをかけている。
「お前、またよそ行き用のケース増やした。」
「グリーン系の色がなかってん。」
「ここいらじゃ売ってないだろ、どうしたんだ。」
「お母さんに通販お願いして、お金はあとでちゃんと払(はろ)た。」
「ちょい前に来てた宅配それか。ところで日焼け止めは。」
「塗ったよ。帽子もかぶる。」
「なら良し。あ、そうそう、間違ってものっけから大ボケかまさないように。」
「まるで私が相手構わずボケとるみたいやないの。」
「牛島さんを天然呼ばわりする半分ボケだからな。」
以前にもあったような少し謎の多い会話をしながら義兄妹は家を出て、客人を迎えに行くのだった。