第60章 【烏と狐といろいろの話 その1】
更に変わってこちらは烏野高校男子排球部の部室である。
「宮兄弟がうちに襲来することになった。」
力が仲間に報告していた。
普通に考えればまあまあえらいことであるが、過去にいろいろなとんでもを経験させられている排球部の連中は比較的冷静である。
「襲来って、お前んちは迎撃都市かよ。」
2年仲間の木下久志がボソリと突っ込んだ。
「撃破したら向こうは形が崩れたりしてな。」
同じく2年仲間の成田一仁が更に乗っかる。
「で、聞くまでもないかもだけど縁下、なんで宮兄弟がわざわざ。」
「美沙に会いたいらしい。何をトチ狂ったのか知らないけど。」
「出たっ、縁下妹謎の引き寄せ体質っ。」
田中龍之介も話に加わった。
「すっげえな、美沙。モテ度が上がってんじゃねーか。」
呑気かつ元気に言うのは西谷夕で、こいつは確実に深く考えていないと思われる。
「正当な評価はされてほしいけど、モテるとかなんとかはいらない。」
途端に無表情になる力を、まあまあと副主将の菅原孝支がなだめた。
「可愛い妹が正当に可愛い評価されてるんだって。」
「宮兄弟の場合はレアなペットで遊んでる感があるのと、本人が拒否ってるのに2人して無断抱っこの前科があるので。」
「縁下法では気に入らない奴がままコさんに触るイコール刑事事件ですか。」
1年の月島蛍に嫌味全開で言われるが力は動じない。