第59章 【王者の恩返し】 その6
「そんで更に俺も私もになって主将もほっとけなくなったんでしょ。」
「ご明答。」
澤村がこちらもまた苦笑したところで青葉城西の面々はやっと状況全体を把握したらしい。
「それじゃあさ」
ここで及川が無駄に明るく言った。
「俺らもご一緒させてもらうね。」
「このクソ川、なんでそうなるっ。」
岩泉が即突っ込むが及川は意に介さない。
「ここで会ったのも何かの縁じゃん、せっかくだし。」
「ちょ、待て、及川。」
「いいよね、ウシワカちゃん。」
止めようとする花巻も無視して及川は牛島に声をかける。
「構わないが。」
「はい、決まりー。」
「ちょおっ、牛島さんっ。」
大慌てで美沙が声を上げる。
先程まで周囲の怒涛のやり取りに押されて沈黙してしまっていたのだが、これはいけない。
「食事をするくらいは大丈夫だろう。」
「いや、私が大丈夫ちゃうから言うとんのっ、ちゅうか兄さんからも言うたげてっ。」
「諦めろって言ったろ。心配しなくても及川さんがセクハラしようもんなら容赦しないから。」
「兄さんまで。」
美沙はげんなりしてうつむくのであった。